登壇者

時東ぁみさん タレント

1987年生まれ。2005年「ミスマガジン2005つんく♂賞」受賞を機に、同年、つんく♂プロデュースにて歌手デビュー。現在、歌手、タレント、女優、DJ、ラジオパーソナリティなど幅広く活躍中。防災士免許、上級救命技能などの資格を持つ。サンミュージックプロダクション所属。

永井光洋さん ご当地アイドル「パラレルドリーム」プロデューサー

1967年生まれ。20歳でアパレル会社を起業後、1998年、長野オリンピックを機にECに特化したビジネスをスタートし、2010年に売上高10億円突破。2012、SNSを活用したトンヤガイミュージック設立。レーベル事業、イベント事業、プロダクション事業を展開。2013年、地域活性化を目的にご当地アイドル"パラレルドリーム"結成。アイドルプロデューサー、Tシャツ博士として長野県内外のメディアで活躍中。

境真良さん 『アイドル国富論』著者(現役官僚)

1968年生まれ。1993年通商産業省(現・経済産業省)入省。現在、国際大学GLOCOM客員研究員、経済産業省国際情報分析官。著書に『テレビ進化論』(講談社現代新書)、『Kindleショック』(ソフトバンク新書)ほか。2014年9月に新著『アイドル国富論』(東洋経済新報社)を刊行。日本のサブカルチャーに精通する専門家。

ファシリテーター

青柳陽一郎さん 維新の党 衆議院議員

1969年生まれ。大学卒業後、国会議員秘書としてのキャリアを積み、2005年、第三次小泉内閣の国務大臣政策秘書を務める。事務局長として主催する「ベトナムフェスティバル」をはじめ、アジアの国際交流活動のパイオニアとして活動。政治の世界のみならず幅広く活躍。2012年の衆院議員選挙にて当選。2014年再当選。現在、2期目。

パネルディスカッション内容

―アイドルとは一体何者なのか?タレントとアイドルの違いは?

青柳: 「アイドル」の定義はそもそもなんでしょうか。境さん著書『アイドル国富論』では、「総じて目の覚めるような美貌や素晴らしい声と歌唱力、見るものを唸らせる演技力といった実力に恵まれていないのがアイドルだ」ということが書かれてありますが。

境: 僕は端的に言って、アイドルとは「ものすごく美人で近寄りがたくて、すごく歌が上手い人」ではないと思っています。1970年代以前は、映画を中心に、すごく綺麗な美人さんが出ていました。しかし、テレビが出てきたことで、これまでの近寄りがたい美人さんとは違う方たちが出てきた。そこがアイドル現象の出発点だと思います。

―いまのアイドルはどうですか?

境: つんく♂さんたちが拓いた最近のアイドルは、僕はちょっと違うものではないかと思っています。あえて言うと、「目の覚めるような美人であるかもしれないし、素晴らしい歌声や演技力を兼ね備えているかもしれないが、“それらをあたかも持っていないかのように振る舞える人”」ですかね。

―なるほど。時東さんにお聞きします。時東ぁみさんはアイドルですか?

時東: 私自身のことをお話しますと、私、「時東ぁみ」はタレントです。私はアイドルというのは、タレントという仕事の中の一つの“ジャンル”であると思っています。そして、私の中のアイドルの定義は、「見てくれた皆さんがつけるブランド」だと思っているんです。芸人さん、女優さん、俳優さんは職業として成り立つと思いますが、アイドルはそうではない。それは、つんく♂さんからもデビュー当時に言われたことなんです。「アイドルと言わない方がいいよ」という教えがあり、だから、私はデビューから丸10年、自分のことをアイドルですと言ったことは一度もないんです。でも、今の時代の人たちは、「私は〇〇というアイドルをしています」というのを言ってしまう。だから、誰でもアイドルになれるようになってしまって、飽和状態になっているのを感じているんです。アイドルは身近な存在であってもいいと思うのですが、身近かどうかは、ファンの方や皆さんが受け取って感じるものだと思います。

アイドルの流行り廃りと日本経済には関係がある?

―アイドルの流行り廃りと日本経済の景気不景気の波に相関性があるというのが境さんのお考えですが、本当にアイドル現象と経済は相関があるのでしょうか?

境: 「絶対に日本は伸びる、大丈夫だ!」という時期にはアイドルは流行りません。スターが流行ります。「なんか無理そうだな、でも頑張りたいな、成長したいな」という、希望はあるんだけど、でもちょっと不安がある時期にアイドルが流行るんです。

―ということは、今のアベノミクスとアイドルの関係でいうと?

境: 今、アイドルブームが存在するということは、みんな足元では「アベノミクスはそんなに上手くいく訳はない」と何かしら思っていることですかね?

時東: 歌の流行もそうですね。不景気な時は応援ソングが流行るのと同じですよね。不景気の時は、応援ソングや前を向いて頑張ろうよという曲が流行ると言われているんです。

ご当地アイドルは官製アイドル?

―永井さんは、自分の事業で儲かったお金で、趣味でアイドルをやっているということではないですよね?

永井: そうではないです。ご当地アイドル、いわゆる「ロコドル」と言われているものの収益モデルは、えぐい話になってしまいますが、基本的には、地方自治体の補助金や振興資金などを利用して、行政が主体となりイベントを組み、そのイベントにロコドルたちが出演する、というのが基本です。

―つまり、言い方を変えると、「官製アイドル」とも言えるということですか?補助金や行政の支援がなければ、なかなか独立してやっていくのは難しいと。

永井: そういうことですね。CDの販売やメディアへの出演もありますが、実際のところ、行政がバックアップし、特産品のPR活動などにロコドルを使っていくというのが、今の行政の一つのやり方になっていますね。行政から地域活性化のための地元での活動を依頼されている。僕は、キャンペーンガールやCMのお仕事をしているのと一緒かなと思っています。

境: 僕は、地方のPR費用がアイドルに使われることは結構ポジティブに評価しています。昔は「もっと地方をPRするポスターを作ろう」という意見が多かったのですが、現在は、ゆるキャラやアイドルにお金を使おうが、その地域がそれでやる気になって伸びるならいいじゃない、という風になっていますよね。

文化を政府が支援することの意味は?2020年に向けて

―2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されるので、これからの街づくりが重要になってきますよね?

境: 2020年オリンピック・パラリンピックに向けて文化的な政策を取る時に、僕が一番言いたいのは「海外の文化の文脈から見て評価されようと思うな」ということなんです。そもそも、この国って変なんですよ。僕今46歳なんですけど、46のおっさんが20歳ぐらいの女の子にキャーキャー言ってるわけですから、変ですよね。でも、変だから、いいんですよ。だけど、欧米志向の人たちが「自分たちの変な部分は海外から評価されないから、そぎ落とした方がいいんだ」と下手に壊しちゃうと、どんどん日本人のいい部分が消えていく。

―国や自治体があまり口を出さない方がいいと?

境: そうですね。良さが壊れてしまう危険はあります。東京オリンピック・パラリンピックの時に、海外の金メダリストが面白いからと思って歌舞伎町に行って、キャバクラにでも入って、シャンパンタワーでもやって、Twitterで「日本にはこんな場所があるんだぜ!」と出てしまっても、それでいいと思うんです。安心と安全さえ確保しておけば、それが綺麗な話題かどうかだなんて、どうでもいいんです。それは、参加した人が決める話だし、それを判断する権限は行政にはありません。

―永井さん、長野、東京、世界を比べてみてどうですか?

糸井: まず、エンターテイメントの世界のキーワードに「近いところの触れ合い」があると思います。子どもからお年寄りまでが皆知っているアイドルがそれぞれの身近な地域にできれば、素晴らしいことだと思います。しかし、それに留まらず、僕はやはり世界に飛び出していってほしい。僕自身もアメリカにも会社がありますし、ビジネスマンとして世界に飛び出すつもりで頑張っています。昨年、パラレルドリームはインドネシアで開催されたジャパンフェスティバルに出演しました。ロコドルとして海外に進出したのは初めてということで、結構話題性があり、ヤフーニュースでも取り上げられました。僕のTシャツ販売のビジネスはインターネットビジネスで、国内ですと北は北海道から南は沖縄まで。そして海外ではアリババやアマゾンを使ったりして販売しています。そういうビジネスモデルで活動しながらも、会社の本社は長野県にある。このモデルはエンターテイメントの世界にすごく活かせるのではないのかなと思って。そこから、パラレルドリームはスタートしているもので、ただのロコドルで終わらせたくないんですよ。

政治に関心を持てないのは、政治家の惹きつけが甘いから?

―最後に、現役タレントの時東ぁみさんに、政治について思うことについてお聞きして、それで締めようと思います。まず、時東さん、投票行ったことはありますか?

時東: もちろんあります。私が政治について思うことは、テレビや街頭で行われている演説って、分かりにくいですよね。多くの方が選挙に行っていない理由につながるかもしれませんが、政治家側の惹きつけが甘いなと思うんです。それはアイドルと一緒で、アイドルのイベントにお客様がなかなか来ないとかなったら、その子のパフォーマンスレベルを上げるのはもちろんのことなのですが、それよりも「どうやったら、お客様を楽しませられるだろう?どうやったら、自己紹介以外の文章をお客様の耳に残せるだろう?」というのをやっぱり考えなきゃいけない。それこそ、アイドルも政治も一緒だなと思っています。

―耳が痛いけど・・・素晴らしい。時東ぁみさんは10年間芸能活動を続けられていますが、どうやって生き残ってきたのでしょうか?実は、政治家も売れるまでに時間かかるんですよ。

時東: 私は事務所のおかげですね。

―事務所に力があると?

時東: いえ、そうではなくて。事務所全体や担当してくださるマネージャーさんであったり、関わる人皆のモチベーションが続く限りは上がっていけると思っているんです。政治家の方にも例えられるかは分からないですが、投票してくれる皆さんと投票してもらう人の双方がモチベーションを上げ合わないと、私はだめだと思っています。タレントの場合ですと、それがタレント本人とマネージャーになります。これは良く聞く話なのですが、マネージャーが「よっしゃ、頑張るぞー!」と言っている時に、「いや、私、彼氏に止められているんで」と訳の分からない理由をつけて女の子が辞めてしてしまうことがある。そんなことで仕事は選んでいられない。お互いのモチベーションが合っている間は、ずっと上がり続けると私は思っています。

―なるほど。なかなか示唆に富んだ話でした。政治でいうと、政党かな。政党が調子よければ・・・ちょっと無理やりのこじつけ、失礼しました(苦)境さん、今の聞いていて、どうですか?

境: アイドルと政治って近いと思っているんですよ。というのは、アイドルも政治家もファンが支持することになるじゃないですか。だから、ある種のコミュニティが出来ている。AKB48の総選挙ってありますけど、あれはメタファーを上手く利用している。「政治とアイドルって何か似ているよね?」っていうのを、似ているんなら、そのままパロディで真似してやってみようということでイベントになったということですから。

―このあたりでパネルを終わりにしたいと思います。皆さん、ありがとうございました。