登壇者

(第1部・ご講演)

佐賀県武雄市長 樋渡啓祐氏

(第2部・パネルディスカッション)

慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の菊池尚人氏

My Policy Labフェロー 衆議院議員(結いの党)の青柳陽一郎氏

(パネルディスカッション内容) 国会議員×学者 「選挙以外の政治との関わり方とは?」

第1部の樋渡市長のご講演・QAセッションに続けて、第2部として「国会議員×学者」のパネルディスカッションを行いました。ご登壇者は、結いの党衆議院議員の青柳陽一郎先生、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科准教授の菊池尚人先生です。コーディネーターは、Youth Create代表の原田さんが務めました。パネルディスカッションの後半では、参加者の皆さんも参加して会場全体でディスカッションを行いました。以下にて、当日の内容の一部をお届けします。

―今回のイベントのテーマでもありますが、選挙以外での政治との関わり方にはどのようなものがあるのでしょうか?

青柳: 関わり方はいろいろとあると思います。例えば、支援したい政治家に「献金」する。他にも、何か問題意識を持って変えたい規制がある場合には、「署名」を集めて政治家に提出したり、あるいは自分で団体を立ち上げて「ロビー活動」をすることもできるでしょう。

菊池: 自分たちで団体をつくって活動をするのは良いかもしれませんね。特に地方で若い人の数が少ない場合は、「若い人が集まっている」となると、政治/行政側からすると、見捨てられない、見逃せない団体になりますよね。ですので、集まるのは力じゃないかなと思います。

青柳: そうですね。数を集めるというのはパワーになりますね。通常、「こういう政策をやってください」と言われた時には「誰がその政策を求めているのですか?」というのを必ず聞きます。その際に「これだけの住民の皆さんの署名があります」と署名を見せられると、これは大きく効果があると思いますね。
例えば拉致問題は、最初は誰も聞く耳を持たなかったんですよ。でも、いまや「実筆署名」が1千万超えたんです。手書きの署名で1千万人以上が署名しているんです。これはすごいことです。この署名の数は絶対に無視できませんから。実際にいまの安倍内閣は、拉致問題を最重要課題に掲げています。このように署名活動は、普通の場合は効果的なんです。

―署名や団体をつくるのは結構ハードルが高いと感じてしまいます。青柳先生はご自身のホームページに意見のメールが届いた場合は、見られていますか?

青柳: 私は自分で目を通しています。お送り頂いた内容が非常にスマートなものだったら「お会いして、話を聞かせてくれませんか?」とこちらからご連絡するケースもあります。政治家へのメールなどの連絡は有効だと思いますね。

菊池: あと日本に足りないのは「デモ」じゃないですかね。私はフランスに住んでいたことがあるのですが、海外のデモは、やはりすごいですね。デモの規模がどんどん大きくなっていくのです。

―日本でも首相官邸前のデモがありますが、実際に政治家・行政には響いているのでしょうか?

青柳: デモは効果があると思います。2013年の年末に「特定秘密保護法案」というものがありました。法案の可決にあたり、最初の衆議院での審議は通過したんです。しかし、衆議院を通過したあたりからデモが盛り上がってきて、最終的にものすごい人数規模のデモになってきて、それが連日連夜、繰り広げられている。法案が最後どうなったかというと、賛成していた人たちも「審議不十分だ」ということで棄権したり反対に回ったりしました。最終的には可決するのですが、衆議院はすんなりと通過したのですが、参議院は「何とか通った」という状態になった。この背景の一つの要因にはデモの広がりがあったと思います。

菊池: 若者が躍る「クラブ」の営業を規制する「風営法」の改正も、署名が効いているパターンです。こういった身近な問題はリアリティがありますよね。

青柳: そうですね。風営法の規制を改正するという動きは、署名から始まっています。他にも、1998年に「NPO法」という法律ができましたが、背景としては、1995年に起きた阪神淡路大震災を受け、「被災地支援のためにボランティアで活動する人たちにも、契約上の不都合がないように法人格をつくりましょう」という声があがり、法律ができていったのです。法律は、そういう現場の人たちの努力でできています。

青柳先生・菊池先生と会場とのQAセッション

会場の参加者の皆さんからの質問を受付けQAセッションを行いました。以下にて、QAセッションの様子を一部お伝えいたします。

Q:いま私は1歳半の息子がいて働きながら子育てをしています。子育てをするようになってから、原発の問題などをシリアスに考えるようになり、政治について勉強がしたいなと思っています。議員の方にもお話を伺って学びたいのですが、集会が母親が参加できる時間帯に行われていません。議員の方には、子育てをしている人や若い人に合わせて集会を開くことに対するハードルがあるのでしょうか?(20代・女性)

青柳: 若い方とお話ができる機会はあれば、私はどんどん足を運んでいますし、秘書には「3人でも5人でも、少人数の集まりでもいいので、そういう機会をつくってくれ」と伝えています。私は呼んでくれればどこへでも行きますし、むしろ政治家はそういう機会を求めていると思います。
我々の業界用語で、一般市民から政治家に政策を提案する手段を「ミニ集会」と呼んでいるのですが、私は結構実施しています。あるいは、国会見学は子づれでの参加も大丈夫なので、子どもを連れたお母様方を国会にご案内して、その後、議員事務所にてお話を聞いています。私は新人議員なので、何でも機会があれば取り組んでいますが、時間と準備の手間との兼ね合いになりますので、選挙に強い方はあまりされていないかもしれませんね。

菊池: すこし話がずれてしまうかもしれませんが、「待機児童問題」というものがありますよね。私はこの問題は政策課題でもなんでもないと思っています。なぜなら、首長は自分の判断で自治体の予算の1%ぐらいはすぐに動かせるからです。1%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、実は、子育てに関しては、この1%で解決できる問題ばかりなのです。介護などの高齢者向けの福祉の話になると、施設の設置などでどうしてもお金がかかるのですが、これに比べると、子育てに関する課題を解決できるかどうかは、ほとんど首長のやる気の問題だと思います。

Q:いまはWEB上で署名を集められるサービスもでてきていますが、電子署名が1千万集まったとして、どういうインパクトを与えるのでしょうか。リアルな署名よりも効果は低いのでしょうか?また、ネット選挙運動の解禁が政治家の方にどういう影響を与えているかについて教えてください。(20代・男性)

青柳: ネット選挙運動は、2013年7月に行われた参議院選挙で解禁になったのですが、正直たいしたインパクトはありませんでした。電子投票ができるとかなったら、劇的に変わると思います。しかし、私は電子投票に対して完全に賛同できていません。先ほどの署名の話と同じなのですが、「実筆署名」はネット署名よりも価値があるのです。我々は中学校や高校での生徒会選出の選挙から、一人ひとりが投票したい人の名前を書き、そして、一人でも多く名前を書いてもらった人が当選するという選挙の文化のもとに育ってきています。
我々政治家は選挙をたたかっています。私自身は、衆議院議員選挙において、約6万9千人の方々に実際に自分の名前を書いてもらい当選しました。この投票いただいた数は活動する上での一つのパワーになるのです。役人の方と勝負する時に、「これだけの人から支援されて、政策が理解されているんですよ」というのは、一つの交渉力になりますから。
風営法の改正は、最初は電子署名でした。電子署名が3万ぐらいを超えたあたりから、「これは無視できないな」ということで色々な人が注目し始めて、実際に2013年の11月から改正のとりまとめに入っていますので、ネット署名も意味はあります。しかし、政治家にとっては選挙で名前を書いてもらうのと同じで、実筆での署名の重みは感じるものがあります。

Q:若者の政治参加についてお聞きします。「なんで政治に関わらないといけないのか?」というのが若い世代の正直なところかなと思っているのですが、時間をつくってまで選挙に行って得られる見返りや得られるものは何なのでしょうか?(20代・男性)

菊池: 見返りは見えにくいですよね。いまの日本経済の最大の問題は「M字カーブ」と呼ばれているものです。これは20代後半から40代の女性の離職率が高いことを示しています。出産・育児を機にいったん離職し、その後育児が終わってから再び働き出す女性が多いことを反映しており、継続しての就業の難しさを表しているのです。福祉が先進的な北欧諸国は、このような現象は起きていません。こういう事態は選挙に行って変えないといけないです。もちろん、選挙以外にも変える方法があると思いますが、私はもっとも効率的に変える方法が選挙なのかなと思います。

青柳: 政策というのは「税金の使い道」なんですよね。なので、政治家は、税金の使い道を決めることが大きな仕事です。皆さんから集められた税金がどのように再配分されるのか。日本は、この再配分の形が世界で一番いびつなんですよ。60代以上の高齢者層にものすごい手厚く再分配されている。この分配の比率を変えていかないといけないのですが、いまの政党の構図、選挙の構図だと、この分配は変わらないんですよ。その一つの大きな原因が、やはり若い人の投票率に関係していると思います。衆議院議員選挙でも、20代の投票率は4割をきっています。この20代の投票率が7割、8割になったら、政治の構図が激変しますから。政治の構図が激変するということは、予算の使い方が激変されるということです。私は、こういうところに風穴をあけていきたいなと思い、My Policy Labのような取組みを行っていますし、今後とも活動の輪を広げていきたいので、勉強会や集まりがあれば、是非お声掛けください。本日はありがとうございました。