登壇者

■パネラー

須田 将啓氏 株式会社エニグモ 代表取締役共同最高経営責任者

鈴木 仁士氏 Wondershake Co-Founder, Chief Exetctive Officer

境 真良氏 国際大学GLOCOM 客員研究員

■ファシリテーター

青柳陽一郎氏 みんなの党 衆議院議員

パネルディスカッション内容

<第一部:パネルディスカッション>

第一部では、パネラーの皆さんと一緒に、ベンチャーと政治の接点、今後のベンチャーの在り方、また、日本はどのように進んでいくべきか、それぞれの立場で語って頂き、熱い議論がかわされました。

ベンチャーが成功するために必要な、お金よりも大事なことは、応援してくれるフレンドがどれだけいるか。

-起業には、「死の谷を乗り越えたら 成長があり、さらに乗り越えたら、イノベーションが起き、お金が入ってきて上場」という流れがあると聞くのですが、須田さんの場合は、上場まではどの様なストーリーでしたか。

須田:上場までに3回ほど谷がありました。会社を始める時に、友達から6千万位集めたのですが、別にお金持ちの友達が多かったのではなく、一人あたり10万、20万とかで、友達の数が多かったんですね。 まず、そのお金をもとに、システムの発注をかけました。そしたら、完成の1週間前に、発注した会社に夜逃げされてしまって、お金もなくなりそうになった。そこから何とか取り返し、BUYMAをつくったのですが、最初は全然売れなくて。今はファッションに特化していますが、昔は何でもありのサイトでした。「誰かが買ったかな」と思い管理ページを見てみると、友達や自分の親が買ってくれていて、同情で成り立っているようなサイトでした。その後、6億円を調達し、本腰を入れまして、広告サービスがあたり、ようやく坂を登りました。しかし、広告サービスが下降して赤字になったのですが、V字回復し、そのまま上場という流れです。

-鈴木さんは日本で起業しないで、いきなりアメリカでいきなり起業されていますね。そもそも、普通大学を出たら就職という流れですが、それもせずに起業と。どのように選択されたのでしょうか。

鈴木: 大学1、2年生の時は、投資銀行を目指していて、全然起業を考えていませんでした。金融に行きたかったので、経済学を学び、また、1年生から就活の準備をしていて、色々なセミナーに参加していました。その過程でリーマン・ショックがあり、「大企業に入っても、何が起きるか分からないな」ってその時に思ったんです。そこから、勉強も就活の準備も全部やめようと思い、様々なベンチャー起業家へのインタビューを始めました。創業者の話を聞きに行き、Webサイトに記事を掲載していたのですが、彼らと接する中で、どんどんと「起業って面白いな」と思い始めるようになりました。
そして、大学3年生の時に、アメリカのサンディエゴに留学をし、シリコンバレーにも何回か遊びに行きまして。現地で起業して成功している日本のベンチャー起業家の方の話を聞きに行った時に、そこで完全に虜になりました。日本にいる起業家とは全然違う思考を持っているんです。

-違う思考って何ですか?

鈴木:ゴールが大きいんです。上場をするとか、バイアウトするとかいう話ではなく、純粋に「こういう世界をつくりたい」と思っている。片道チケットでアメリカに渡り、20億位をアメリカで調達し、50人位のスタッフを雇って、最終的に50億位で会社を売っている方とお話したのですが、そこまでやりきったことがすごいなと思いました。その話を聞いて、自分自身も長く海外にいて、比較的英語が出来たので、「アメリカで起業しよう」と思いました。会社は誰でもつくれるので、アメリカで設立し、日本の投資家さんにお金を出資して頂きました。ですので、そもそも「起業はしたいな」とは思っていたのですが、日本よりアメリカの方がいいなと思ったということです。

-境さんにお聞きします。「もう少し経済産業省がベンチャー支援をすべきではないか」、という話がありますね。具体的にどの様なことが必要なのか、或いは、何も必要ないのか、その辺について教えてください。

境:現役で役所の中にいない人間が代弁で話してはいけないと思うのですが、これまでベンチャー支援策として、何をしてきたのかなと思うんです。支援策の大体は、リスクマネーを供給するとかだと思うのですが、僕は、ベンチャーが成功するために必要な条件は、お金ではないのではないか、と思っています。須田さんの話を聞いてすごいと思ったのは、友人から資金を集めたという話です。お金よりも、新しい事業を支えてくれるフレンドがどれだけいるかの方が大事だと思っていて。ベンチャーにとって、取引先を開拓するのが1番難しいではないですか。単にお金だけがあり、ready to goの状態になっていても、お客さんに繋がるリードがない。お金よりも大事なことは、いいお客さんを引っ張ってくれる仲間だとずっと思っているのです。

-お金ではないところが重要だと。

須田:そうですね。ベンチャーの立ち上がりは、お金ではなくて、応援されることや、協力してもらうことが、とても大事なリソースだと思います。恐らく、僕らが会社に行きながら片手間で活動していたら、多くの人は応援してくれなかったと思うんです。でも、「博報堂辞めます」、「有り金も全部注ぎ込みます」というので皆が集まってくれたので、最初はお金ではないと思いますね。
ただ、会社が潰れなかったというのは、お金があったからだと思うんです。サイバーエージェントさんや、マネックスさん、ソニーバンクさんなども同じで、いいタイミングで上場し、赤字だったけれども、50億とか200億を調達したことで、会社が潰れないで、今それぞれ活躍されている。だから、お金は条件の一個にはなるかなという感じです。

役所を「役人という一人の人間が集まっている集団」と見てほしい。形をつくるというのは難しい。だからこそ、役人には現場に本当に行っているか、というのが問われるのかもしれません。

-ある程度、会社の規模が大きくなってくると、法律との壁に当たるとか、役所と向き合う時があったと思うのですが、日本の行政やシステム等を見ていて、もう少し改善してほしいと思うことはありますか?

須田:上場の時に思ったのは、働くことを、労働基準法等で守りすぎかなということです。無理やり働かさせられることや、肩書だけの裁量労働という強制的なものは絶対にだめなのですが、ベンチャーですと、自発的に働きたい人がたくさんいるので、それを上限月70時間で制限されると、会社も働く側も皆不幸になってしまいます。働きたがっているのに、「帰って」と言うのも不健全だし、会社としてまだまだ頑張っていかないといけない時に、規制されてしまうと、ベンチャーとしては育ちにくいなと思いますね。

-日本の雇用システムは時代に合っていないというのは、まさに政府でも検討しているところです。鈴木さんは今のような日本の制度を聞いて、アメリカにして良かったなと思われますか?

鈴木:最初に言っておきますと、アメリカの就労ビザがなかなか取れなくて、実際には、日本にいながら活動しています。親会社はアメリカにあり、日本に子会社を設立している形です。まだ、自分の会社のステージ的に、須田さんのような発見はないのですが、そこまで政策として、お金がベンチャーに回ってこなくてもいいかなと思っています。お金ではなく、メンタル部分の問題で、誰とやるのかが一番大事なところだと思うんです。ベンチャーを始めたばっかりの同世代で話題になるのですが、次に進むために、最初の300万がないと始められないという時に、本当に会社の15%の株式を出すのか、本当に株式を薄めてもいいのかという題目があるのですよ。でも、結局はお金ではなく、一緒にやる人が大事。お金をどうするという話に時間を使うこと自体がもったいないですよね。

-ベンチャー政策を語る時、「お金が足りないので、政府がファンドつくり、リスクマネーを供給するべき」という議論があるのですが、実際に起業して勝負してるお二人からすると、政策はそっちではないと。だとすると、リスクマネーや官民ファンドが必要だと話題になるのかは、実は、役所側の論理でつくられているのではないか。境さん、どうでしょうか?

境:それはその通りです。とても大事なことは、役所を、「役人という一人の人間が集まっている集団」としてみて欲しいんです。その集団の中で、彼らがどのように動くのかが楽か、合理的かという風に考えると、色々なことが見えてきます。例えば、規制緩和を行うという時に、規制緩和をすることを、本当に役所が「規制緩和がいい」と信じてやっているかは、僕は疑問だと思っています。規制緩和は、制度を廃止すれば良いので、制度をつくるよりも考えるのが簡単ですよね。形をつくるのはとても難しいんです。現場に行かなくてはいけないし、「本当にこの形でいいのか?」と迷う。それよりも、「規制緩和ですから、廃止しましょう。」と言うと、集団の中では通りやすいのです。
同様に、ファンドをつくることも、周囲に対して説得しやすい。「今、お金が必要な新しいビジネスがたくさんありますが、民間の金融機関では出来ないので、政府がお金を回しましょう」というのは、とても分かりやすいロジックで、それでいて、法律が一個つくれたり、予算を確保できたりするので、役所としては美味しいという部分があります。付け加えると、役所がお金を回していく時に、投資と考えるからだめなのです。そうではなくて、「こういう企業が頑張ったら、日本がこういう風によくなる」という、仕組みをつくるためツールだと思えば、役所が投資をすることの意義は成立すると思っています。それを世間にファンドと言っていいかは疑問ですが、効果がないとは言いません。

-どのビジネスが成功して、どのビジネスが成功しないのかを見極めることが、投資の最大の目利きのポイントですよね。税金を使い、役所の人が判断することの是非をどう思われますか。

境:社会の仕組みの中で、あるビジネスとあるビジネスがつながれば利益がでるのに、でも、つながらないというのは、実際にある話です。それを民間の金融機関が投資の能力で完全に見抜けるとも思えません。問題は、しっかりと現場で起きていることを見抜き、そこを支援すると言えるかどうかだと思うんですね。僕は可能性として、きちんとした物差しさえあれば、役所が投資を判断することは、なくはないと思っています。あとは、現場の役人たちが、本当に出来る能力を今持っているか。現場に本当に行っているか、というのは問われるかもしれませんね。

日本に必要な、緊張感と臨場感。自分がロールモデルになるということ。

-この辺で話題を変えまして、上場して良かったなと思うことと、そもそも何で上場という選択をしたのかという話をお聞きしましょう。

須田:全然本質的ではないのですが、上場にはロマンがあり、上場する日はいい一日なんです。東証に行くと、スタンディングオベーションで迎えてくれて、今まで投資してくれた何十人の人に全部お返しすることが出来ます。売上4万円位の時に、6億円調達したのですが、その人たちにもお返し出来る。とても晴れやかな一日で、こんなにいい一日はないなというほど気持ちいい。十年ぶりに、「やったな」っていう感じで。そういう本質的ではないのですが、一つのドラマなのです。

-それは、選挙で当選するのと近いですね。

境:選挙に出るって、それこそ、ベンチャーみたいなものですよね。

-ベンチャーそのものですよ。会社も辞めて、私費を出し、全てを投げ打って挑戦する訳です。周囲には「誰もお前なんか通んないだろう」と思われ・・・。この話をすると長くなりますのでこの辺で(笑) 鈴木さんはどうでしょうか?いずれは自分も日本で上場してみようと思っていますか?

鈴木:そうですね。ゴールがないとやはり進めづらいので、上場か売却かという話をチームでしていますが、うちの会社が選んだ事業の性質からして、上場ではないか、と考えています。須田さんも仰いましたけど、本質的ではないですが、上場は一つのゴールだと思うのです。でも、それはそれで、いいロールモデルをつくれるかなと思っています。リブセンスの村上さんが25歳で上場しましたが、最年少で上場となると、やはり世間は盛り上がるじゃないですか、特に若い子たちは。その緊張感というか、臨場感、盛り上がり的なものが、もっともっと日本に必要だなと思っているので、ロールモデルとして、そのような分かりやすいことを成し遂げていきたいですね。

ある意味では、自分の仕事をつくる、自分の人生をつくるのが、一つのベンチャーみたいなもの。

-起業家のお二人には会社のゴールの話をしてもらいましたが、境さんは役所で、どのような人生のゴールを設計されていますか?

境: ゴールは特にないですけどね。とにかく、自由が一番大事な人間なので、どういう風にすると、自分らしく出来るかということしか考えていないです。

-その哲学ですと、一番働く場所に適さないのは役所ではないかと思いますけど。

境:真面目に自分の人生を考えると、たまに、しまったと思うんですよ。でも、ある意味では、自分の仕事をつくる、自分の人生をつくること自体が、一つのベンチャーみたいなもので、自分の大事なものを得るために、どういう風に自分のポートフォリオをつくるかって話だと思っています。役所は、そのポートフォリオの一部としては使える、とは思っています。

未来をつくる、若い人たちへのメッセージ。
世代間闘争の中で何とかもぎ取り、そして、必要な、こすっからさ。
自分の頭で考え、自分で決めて、自分でリスクを取ること。
失敗はトラックレコードになり、自分の価値になる。動いて自分の旗を立てる。

-最後に、今の若い人たちを見てどう思われているか。また、若い人たち向けに、メッセージを一言ずつ頂きたいと思います。

境:今の若い人たちは、優秀だとは思います。ただ、今はとにかく、非常にシニアがウェートを占める時代になってきていますよね。若い人たちの職場を削ってもいいから、シニアを65歳、70歳まで雇用しようとするようになってきていますので、とにかく「世代間闘争」が起きているのだと思った上で、若い人たちは、何とかそこから、もぎ取らないといけない部分があるというのと、上の世代に上手く入り込むだけの、こすっからさが欲しいなと思う時があります。それは是非頑張って欲しいです。

-今の話はとても重要な話ですね。だからこそ、若い世代は、政治に関心を持ち、選挙に行って頂きたいのです。それでは、鈴木さん。同世代ですが、如何ですか。

鈴木:自分の妹が15歳なのですが、英語、中国語、日本語が出来て、今、シンガポールに住んでいます。この前、久しぶりに会いまして、彼女に、「就活を大学3年生になってから始めるのはやめた方がいい。今から考えた方がいいよ」という話をしたんです。15歳だったら、今から何回でも挑戦できる。彼女自身がアクションを起こす中で気づくことがあると思うのですが、「自分の頭で考えて、自分で決めていった方がいいよ」という話をしているので、言っている自分自身も、どんどん自分で決めて、自分でリスクを取って動いていかないとと思っています。

須田:今の話はとても共感します。動いて失敗しても、それがトラックレコードになり、その人の価値になっていくと思っていて、会社の規模に関わらず、個人としての経歴は今後絶対に価値になるはずです。既定路線から外れて動くことは、実はそれはリスクではなくて、逆にバリューアップしていると思うので、失うものなんてないと思い、どんどんと動いて欲しいですね。動きたいと思い、考えているだけだと、動いていないのと全く一緒なので、「自分はここにいるのだ」と、世の中に旗を立てることが大事かなと思います。

-ただ、実際には、日本の社会がどこまで許容できるのかは、まだ色々と議論の余地があると思いますので、それを僕は変えていくべき、超えていくべきだと思います。

<第二部:QAセッション>

パネルディスカッションの後には、会場の参加者同士でグループとなり、パネラーへの質問を考えました。以下は、会場とのQAセッションの様子です。

Q:これまで影響を受けた人や出来事を教えてください。

須田:自分の父親がエンジニアで、結構すごい特許を会社で取得しました。今だと数百億は取れそうなもので、国から表彰もされたのですが、会社から貰えるお金は年間5千円ぐらい。それはそれで価値のあることだし、会社の環境があることで出来たことだと思います。しかし、一方で、自分が大学生の時ですが、外資系の会社の新卒のボーナスが7千万とかあり、そのいびつな構造がずっと頭の中にあり、そういう構造を打破し、本当に価値のあるところにお金が入るような会社や仕組みをつくりたいなって思っていました。それは影響していると思います。

鈴木:一番大きいのは、『リーダーシップの旅』という本を読んだことです。大学2年生の時に読み、結構人生変わりました。自分は、今まで一度もリーダーになりたいと思ったことがなかったのですが、その本には、「リーダーは、結果としてリーダーになる」ということが書かれていました。やりたいことがあって、それに向かい突き進んでいたら、フォロワーがついていたということは、よくある話なんですけど、それを一番分かりやすく噛み砕いて書いてくれていました。それで、その著者であるISL代表の野田智義さんのところに行き、インターンをしました。それぐらい影響を受けて、自分のリーダー像の原点になっています。

境:ショックを受けた出来事って言い換えてもいいですかね。二つあって、一つ目は、中国に領事館員として3年間いた時に、現地の方が日本人と同じ働きをしているのに、日本人の給料が中国人の10倍あるという事実に直面したことです。当たり前の経済原則が目の前に存在していて、自分の今置かれている環境を原理的に思い直すことになった時に、矛盾が見えてくる瞬間が色々ありました。もう一つは、東京国際映画祭の事務局長を1年間務めた時に、フリーランスの方々と一緒に働いたのですが、彼らの人生設計の仕方を見ていく中で、こういう生き方もあるんだっていうケースがものすごく膨らみました。大きな会社にいると、正規雇用じゃないといけないと思いがちなのですが、色々な生き方があるということを学んだことは大きいと思いますね。

Q:皆さんのベンチャーの定義はどのようなものでしょうか?単純に起業とは違うのかなと思いましたので、どう捉えられているのか、お聞かせください。

青柳:私は、リスクを取って勝負することがベンチャーだと思っています。上場しても、起業ではないですが、選挙で当選しても、リスク取り続けて勝負していくのがベンチャーの在り方であり、勝負をしなくなったら、ベンチャーではなくなると思いますね。

須田:仰る通りだと思います。腹を括って勝負するということに加え、成長することがベンチャーだと思っています。

鈴木:自分も全く同じ様に思っています。ベンチャーは、成長が指数関数的に伸びないといけないと思うんです。マーケットが伸びているところを、誰よりも先に気づいて、狙いにいき、それを実現することが、自分の中ではベンチャーの定義です。ですので、スケールしないモデルに留まるのは、ベンチャーではないかなって思います。

境:世の中で顕在化していないニーズを形にすることだと思っています。逆に言うと、そういうところにしかビジネスチャンスはないですし、皆と同じことやってもしょうがないので、それを実際に形にして、ビジネスにして、やってみせるということですね。

Q:リスクを政策として取り除いたとしても、日本は風土的にベンチャーが出てくる環境なのでしょうか。

須田:政策だけですと、出てこない気がしますね。そもそも、やる気にならないと意味がないと思います。その、やる気にさせるのが、教育であり、強烈なロールモデルの存在だと思っています。ホリエモンは捕まり、叩かれて、賛否あるのですが、皆が強烈にすごいなって思う、身近なロールモデルがたくさん出てくるといいですよね。人は、結局、人でしか変わらないと思っています。いくら教育制度や福利厚生を整えても、あまり変わらなくて、そこに強烈にいい人がいると、周囲の人間は負けられないと思い、そこから、ようやく教育が活きてきたりするんですよね。

境:やりたいという気持ち、というのはその通りだと思っています。しかし、そればかりは何ともし難いですよね。個人個人が「こうやって生きていきたいんだ」と思わなければお終いなのですが、それは教育の問題ではない気がします。 政策でリスクを取り除くという話ですが、僕自身は、リスクは絶対にゼロにはしない方がいいと考えています。リスクをゼロにしたら、誰もやる気が起きないので、リスクは0.1でも、0.2でもいいから、乗り越えるハードルとして残さなくてはと思っています。

Q:須田さんと鈴木さんには、もし地方で地域密着型の会社を引き継いだとしたならば、どのようなビジネスを展開されていくのかと、境さんには、経済状況が厳しい地方は、どのように頑張っていかなくてはいけないのかを教えてください

境:今日は組織を代表していませんから、個人として言いますが、基本的に食い合うことを認めないといけません。それで、潰れた方が上手くいくと思います。いったん、負けてゼロ化して、だめだって思わないと変わらない。ただ、僕は、ベンチャーの一つの理由として、それを引っ張っている人が、しがらみなく、自分で自由に生きていくためのエンジンというか、ツールだと思っているので、このビジネスをひっさげてこの町を出てやる、自分の事業でこの町を壊してやるという気概を持った人を応援したいですね。これは経済産業省の支援でどうにかなるものでもないので、敢えてそういう人を出すにはどうしたらいいかという点は無視していますので、お許しください。

鈴木:地方で継ぎたいという思いがあること前提ですよね。自分だったら、継ぎたくないと思ってしまいます。本当にやりたいことをやりたい。やりたいことが事業を継ぐことであれば、まず、何をゴールにするのか決めますね。ありきたりな答えなのですが、自分だったらネットに持ってきます。若いので、ネットでしか勝てませんので。

須田:僕が博報堂で学んだことで一番役に立っていることは、「ポジショニング」の考え方です。だめなものでも、軸を変えればプラスに変わるのが、ポジショニングの妙で、地方の古い産業は、逆に言えば、イノベーションのチャンスがあるんですよね。知り合いでおしぼりをつくっている会社があるのですが、おしぼりをどうイノベートするかってことで、たくさんアイデア考えていたりするんです。我々みたいな人たちは、「今から、おしぼりに入っていこう」と、敢えてそこに取り組まないじゃないですか。ですから、逆にそういう運命を受け入れて、そこでイノベーションを起こしてやるのだとすることで、それがポジショニングとして変わっていくということです。

Q:最後、私、青柳から質問させてもらいたいと思います。皆さんは、今の政治をどう見ていて、何がだめで何を変えたら良くなると思われていますか。

須田:守りすぎだなって思います。勝負していない。例えば、四国に橋をつくりますという話で、交通量増やす目的で橋をつくったのに、それをつくると、フェリーの会社が潰れるから、橋に通行料かけましょうとかなりますよね。フェリーが潰れればいいっていうと語弊があるんですけど、顧客からいらないと思われている産業は、潰れて次にチャレンジした方がよくて、そこを国がサポートするのはいいと思うんです。しかし、潰れる手前を何とかしようってのは、少し守りすぎなのではないかと思います。

鈴木:若い世代は、無知の知と言いますか、政治に関心が無いんですよね。自分も実際無いですし。そこは問題だと思いつつも、結構仕方がないなと思います。最近、安倍さんもFacebookを使っていますが、このように、身近さが大事なので、コミュニケーションの仕方を若い人に合わせてもらえると助かるなと思います。聞く側の方でも、「政治を教養として知っておこうよ。その方がカッコいいよね」という流れと、それを体現するロールモデルをつくらないといけないですよね。こうすると、お互い良い状態になっていくのではないかなと思います。

境:真面目に考えると、仕組み全体がトートロジーになっているので、上手く答えが出ないんですよね。そこら辺をどうやって実現するのかって話を抜きにして、僕は、これを一個だけ変えたら上手くいくのではと思っているのは、首相公選制ですね。特定の地域の積み重ねではなくて、日本全体で選ぶという、極端な話、完全な一人一票ですよね。全体で選ぶとなると、ものすごくシンプルな方針を打ち出さないといけないので、上手くいくのではないかなと思います。

今後もMy Policy Labでは、継続して、政治をもっと身近に感じ、考えられる場をつくっていきます。どうぞ引き続き宜しくお願いいたします。